キノコの資料をゆっくり見ていってね!

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東方手書き劇場を初めて1年経った感想とか

お久しぶりです。ヤプログで毒キノコ図鑑の運営、及びニコニコ動画で「東方手書き劇場」というジャンルで活動しているコルティです。おそらく、このブログを見ている方たちには毒キノコブログの人として定着していると思います。

今はニコニコ動画YouTube、pixivやTwitterなどをメインに活動していますが、動画やTwitterを見ている方には、毒キノコよりもチルノ好きな東方4コマの人で定着しているのではないでしょうか。

「東方手書き劇場」って何?」という方へ。まず東方とは「東方project」のことで、原作は弾幕シューティングゲームになります。ファンの二次創作が盛んに行われている作品で、東方手書き劇場は手書きの東方projectの二次創作動画になります。この記事では私が東方手書き劇場を初めて1年経った感想を書いていこうかと。

www.nicovideo.jp

記事の本題に入る前に、良かったら上のリンク先から私の動画を見てください。見たらきっと面白いから!一番新しいパート6ですが、どのパートから見ても大丈夫!東方手書き劇場はいいぞ〜!

東方手書き劇場を始めるきっかけを言いますと、私は昔から東方が好きで、様々な東方手書き劇場を見ていくうちに、自分で描きたいと思うようになったのです。有名な東方手書き作者になる夢を見ていて、実はこのブログを始める前から絵を描き始めていました。

その後、2014年06月にヤプログを始めました。始めたきっかけは、単にカメラで撮影したザリガニを自慢したかったからですね(笑)。その内「こんな毒キノコがあるんだぜ〜」的な自慢記事を投稿し始めたあたりから、本格的に毒キノコについて調べるようになり、最終的には毒キノコ専門サイトに…

毒キノコの話は置いといて、絵を書き始めてから一年程、画力が上がっていくのを実感し、動画投稿を始める日も近い!そう思っていたのもつかの間…私にとって大きな悲劇が…

2015年5月に行われた第11回東方project人気投票で私の推しキャラだったチルノの順位が大きく下がってしまったのです!!


第9回では25位だったのが第10回で32位、更に第11回では新キャラが殆ど増えていないにも関わらず37位と、一気に順位が落ちたのが当時の私にはめちゃくちゃショックで、それから全く絵を描かなくなってしまい、あんなにハマっていた東方にも殆ど触れなくなってしまうという…バカみたいな話ですが、本当です…もったいない時間を過ごしました…

…2年以上の月日が流れ2017年9月、私は食べることぐらいにしか定着心が無くなっていて、朝ご飯を食べて、バイト行って、昼ご飯を食べて、意味もなくスーパーの食品コーナーを眺めたり、帰って晩御飯食べて、YouTubeでグルメ関係の動画を見て、寝て…

ブログは一応続けていましたが、月1の更新頻度でさほど積極的な活動ではありませんでした。基本的に覚えているのはそのぐらいでしょうか。ご飯を食べて次の食事までの時間を待つだけのつまらない人生が続く中、はっと私の頭から言葉が浮かび上がりました。


東方手書き劇場をやりたい。


自分の中で何かが目覚めました。紙と鉛筆を出して、再び絵を描き始めたのです。それも今までにないペースで描いていき、10月には2年間も使わず放置していたペンタブレットも使い始め、11月には本格的に動画制作を開始。何年も前から考えていた4コマネタを描いていきました。なぜ今まで動かなかったし…


https://www.nicovideo.jp/watch/sm32748463

2018年2月、ついに動画が完成!↑は初投稿動画、「パラダイス幻想郷4コマ【その1】」のサムネで、当時の私にとってはかなりの自信作でした。1万再生くらいはいくだろうと踏んでいましたが、ここでまたも悲劇が。

私が何年もだらだらと時間を過ごしてきた結果、戻って来た頃にはニコニコ動画が既にオワコンだったのです…再生数も当時に比べて明らかに伸びなくなっている状況で、数万〜数十万再生の動画が普通にあった東方手書きも、今では5,000再生いけばかなり伸びてる方。


どうして今まで気が付かなかったのでしょう。ニコニコの現状を知って呆然しました…落ち潰れたニコニコに投稿する意味なんてあるのか、もっと早くから動画制作をすれば良かったと…

ならYouTubeでやればいいじゃん…って思うでしょ?残念ながらYouTubeで東方手書き劇場はあまり盛り上がらないジャンルで、動画もニコニコからの無断転載ばかり、再生数もビックリするほど伸びない、おまけに新規動画も殆どない。東方手書きは、オワコン化した今のニコニコの方がまだ伸びる見込みがあります。

それでも人気の東方手書き作者になるという夢を諦めきれず、とりあえず5,000再生を目指して初投稿しました。投稿日も伸びやすいと言われる金曜日。結果は…


伸びなかった…


具体的な数値は覚えていませんが、投稿してから2ヶ月近く経っても1,000再生にも届かなかったのを覚えています。マイリストは当時20ぐらい。ニコニコ動画全盛期に投稿していたら、大分結果は違ったことでしょう。ただそれを持ってしても言い訳できない数値ですけどね…

どうして伸びなかったのか考えた結果、地味なサムネイルが原因と判断しました。YouTubeでもそうですが、動画の検索で一番最初に目に入るサムネはとても大事で、ここからいかに視聴者を引き付けるかが重要になります。

でもサムネは小さな画面なので、パート1のような小さく人物が映っているものではどうも地味な印象を受けてしまいます。この失敗を活かしてパート2のサムネをとにかく可愛い!と思うような女の子のバストアップにして、動画もフルカラーに、4コマネタも妥協を許さず、自分のできる限り全力を尽くしました。


https://www.nicovideo.jp/watch/sm33045345

そして2作目となるパラダイス幻想郷4コマ【その2】。↑はサムネで、今見るとへたっぴな絵ですが、当時はこれでもかなり可愛く描いたつもりだから…。自信満々で投稿したパート2、結果は…


また伸びませんでした…


初投稿の頃よりは伸びているものの(1,000再生前後)、私としてはあまり満足できない数値でした。更に、何とは言いませんが、パート2とほぼ同じ時期に投稿された新規の東方手書き作者の動画に再生数、コメント、マイリスともに圧倒的な差をつけられ伸びていたのが余計に響きました。

今度こそ伸びると踏んでいたのに…もう何が評価されて何が評価されないのかよく分からなくなっていく…正直に言うと、ニコニコは伸びる動画と質の良い動画は比例しないのです。面白い動画が伸びるとは限らないし、イマイチな動画でも伸びる場合もあります。

パート2を投稿したあたりで何となく気づいたのですが、新規の動画を見ていると、新人東方手書き作者で伸びる人は初投稿の時点でガンガン伸びるのに対し、伸びない人は初投稿も、それ以降の動画も伸びない印象を受けました。私はどちらかと言えば伸びない側…

パート1が伸びなかった時点で、私は底辺制作者からの脱出は出来ないのか…「動画投稿なんて自己満足で良い」「再生数なんて気にするな」って言われたらそれまでですが、私があんなに必死で作った動画があんまり見てもらえないのって…なんか…ね?

動画投稿をやめたら食べて寝るだけの人生に戻ってしまうので、すぐにパート3の制作に。パート3以降のサムネはちょっぴり卑猥というか、ここに載せるのは控えることにします。結局卑猥なサムネで釣ろうとするなんて、我ながらデリカシーの無い人ですね。

でも自分の中で必ず伸びるという自信がありました。パート3は当時、自分の中では最高傑作でした。更に動画投稿企画の第10回東方ニコ童祭に参加と言う形での投稿。ニコ童祭で投稿すればリクエスト生放送で紹介され、一部の動画を全て見ようとする猛者が私の動画を含め見てくれます。だからニコ童祭に参加すればより再生されると踏んだのです。

しかも露骨なサムネホイホイ。これで伸びなかったらもう手段がない…今度こそ、今度こそ自信のあったパート3、結果は…






伸びました!



投稿してから僅か数日で再生数、コメント、マイリストが全てにおいてパート1を上回り、投稿から十日で2525再生を超えました。2525再生と言うと少なく思うかもしれませんが、今のニコニコの状況を考えれば十分伸びている方です。

サムネホイホイ効果なのか、ニコ童祭効果なのかは分かりませんが、パート1が伸びなかった中での巻き返しができたのは事実。数ヵ月に渡った底辺製作者生活からの脱出成功は喜ぶほかありません。後に投稿したパート4〜5も順調に伸び、それに従い過去の動画も少しずつ伸びていました。

ちなみにYouTubeにも一応投稿しています。ニコニコに比べてどのくらい伸びるのか、という実験もかねて。結果はYouTubeの方が伸びました。といっても最初は再生数が三桁にも届かない程、ひどい伸びなさでしたが、今年に入ってから突然伸びだして、ニコニコの再生数を遥かに上回ったのです。東方手書きで私のようにYouTubeの方が伸びる例は稀ですがね。


今年の2月にはパート6を投稿し、初投稿からちょうど1年。当時1,000再生未満だったパート1も、今ではもうすぐ4,000再生、パート3〜5に関しては5,000再生越え。まだ1万再生には届いていませんが、いつかきっと達成したい数値です。

今では東方手書きをやって本当に良かったと思っていますし、後悔はしていません。ただ食べて寝ていただけの人生よりはずっと良いと思います。なにより時間に縛られず好きなものを創作できるのは、のんびりと趣味を満喫できて幸せなことでしょう。

当時は漫画家にもなりたいな〜なんて考えたりもしましたが、今はもうどうでも良いというか、自分の趣味をお金稼ぎにするつもりはありません。仕事は仕事、趣味は趣味と割り切っています。

この創作活動はもう私の人生の一部。東方手書き作者としての活動はやめるつもりはないし、何年でも何十年でも続けていきたいです。失踪なんてしないんだからね!

 

…以上、東方手書き劇場を一年続けた感想でした。かなり久しぶりにキノコ以外の記事を書いてみましたが、ここまで読んでくれた方々ありがとうございました。

ブログの更新を楽しみにしている方には申し訳ありませんが。今後、毒キノコブロガーとしての活動はあまりしないと思います。

たまに記事の修正を行うことはあっても、毒キノコの新しい記事を作ることは殆ど無いでしょう、毒キノコの情報は書き尽くした気が…それにこのブログは完全に毒キノコサイトとして定着していますので、余計な記事はなるべく投稿しないつもりです。

でも面白い新種の毒キノコが発表されれば、また更新しようと考えています。もしブログネタになりそうな新しい毒キノコの情報が出ましたら、ブログにコメントで報告しても…良いのですよ?

ホテイシメジの毒成分・中毒症状など

最終更新日:2018年11月20日(画像はWikipediaより)

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ホテイシメジ(布袋湿地、学名:Ampulloclitocybe clavipes)とは、ヌメリガサ科ホテイシメジ属のキノコ。元々はキシメジ科カヤタケ属であったが、のちにキシメジ科はヌメリガサ科に、カヤタケ属は新設されたホテイシメジ属へ独立した。同属のキノコとしてクロホテイシメジ(食毒不明)が存在する。

「ホテイ(布袋)」という名は柄が下に向かって太まるのを七福神の布袋に例えたものだという。

食菌として扱われることが多いが、日本の毒きのこ (フィールドベスト図鑑)では毒キノコとして扱っている事から、本記事もそれに従った。ここでは食用キノコとしてのホテイシメジと、毒キノコとしてのホテイシメジについて紹介する。

特徴

主に秋、様々な林内、特にカラマツなどの針葉樹林に発生することが多く、時に広葉樹林にも発生する。

傘は怪3〜7cm、表面は褐色〜褐灰色で、平滑。幼菌時は饅頭形で、開けばほぼ平らとなり、中央部がややくぼみ、中心が突出する。

ヒダは柄に対して垂生し、やや幅広く疎。色は白〜淡クリーム色となる。

柄は長さ3〜6cm、下に向かって太くなり、表面は傘より淡色で繊維質、中実である。

胞子紋は白色。胞子は楕円形で、大きさは5〜7×3〜4μm程となる。

類似種

よく似たキノコとして、カヤタケ(注)、ドクササコ(猛毒)、クロホテイシメジ、ホテイダマシ(食)などが存在する。

カヤタケはヒダがやや密で、傘の中央が深く窪んだ漏斗形になる点で区別できる。

ドクササコはカヤタケと同様にヒダがやや密で中央が漏斗形になる点や、傘の周縁部がゆるく波打ち、浅い裂け目を生じる点で区別できる。

クロホテイシメジは傘の表面が灰黒色〜帯褐暗灰色で毛羽立つ特徴で判別可能。

ホテイダマシは傘の肉が薄く、柄が細く中空な点で区別できる。本種と違って毒成分を含まないので中毒の心配はない。ホテイダマシはキシメジ科ハイイロシメジ属なので類縁関係は薄いようだ。

食べ方

風味に癖は無く、全体的に淡白な味。しこしこした歯ごたえが特徴で、基本的にどの料理にも合う。

乾燥させて出汁として利用するのも良いだろう。和え物などにしても意外と美味しいのでおススメである。ただし食べ方を誤ってしまうと中毒する。

毒成分

含まれる毒成分は8-オキソ-9-オクタデセン酸などの共役エノン、ジエノン類である。

毒性はコプリンと同じでアルコール摂取によって発症する。アルコール分解の過度で動く酵素の作用を止められ、「アセトアルデヒド」濃度が高くなる。これによって悪酔いを引き起こすのだ。

断酒薬として知られている「アンタビュース」と同じ作用でもあるので、お酒を飲まない人にとっては単なる美味しいキノコである。

中毒症状

お酒と共に食べると、30分〜1時間程でひどい悪酔い状態になってしまう。

具体的には顔・首・胸などの紅潮・火照り、めまい、頭痛、発熱、悪心、嘔吐、動悸、頻脈、痙攣など。重傷な場合は呼吸困難、意識不明に陥ってしまう。症状は数時間ほどで収まり、死に至ることはほぼ無いと思われる。また、お酒の種類によっても症状の強弱が違うという。

この毒性から東北地方では別名:ヨイツブレ(酔いつぶれ)とも言われている。

注意しなければならないのは、ホテイシメジを食べた次の日にお酒を飲んでも中毒するということ。体内の毒素が完全に抜けきるまで一週間程度は禁酒する必要がある。

ホテイシメジの中毒記↓
2007年10月ホテイシメジ中毒で終わった2007年キノコ狩り

余談

🍄同様にお酒と一緒に食べることで発症するキノコはヒトヨタケ、キララタケなどが知られている。症状は本種と同じ悪酔い。ヒトヨタケの毒成分はコプリン、キララタケの悪酔いを起こす原因物質は不明だが、それとは別にインドールアルカロイドを含む。

🍄ホテイシメジは基本的に食菌という扱いだが、一方で同じ毒性を持つヒトヨタケは殆ど毒キノコ扱いである。おそらくホテイシメジの方が風味や食感など、食菌として優れているからだろう。哀れヒトヨタケ…

🍄名前の似たキノコにウラベニホテイシメジ(食)とホテイタケ(可食)というキノコがあるが、いずれも形態、分類ともに異なり、類縁関係は無い。

 
毒キノコ図鑑TOP↓

coruthi.hatenablog.com

 

世界の毒キノコ事情|海外にはどんな毒キノコがあるの?

毎年、秋になるとやって来るキノコシーズン、アミタケ、ウラベニホテイシメジ、コウタケ、ハツタケ、ムキタケなど、多くのキノコが食べられるが、我が国では特にマツタケが好まれる。

キノコに関する話題が増える一方、毒キノコに関する食中毒が多いのもこの時期である。他の食用キノコと誤食される事の多いツキヨタケクサウラベニタケ。猛毒キノコとして恐れられるドクツルタケ、カエンタケ。幻覚症状を引き起こすテングタケなど、数百種類の毒キノコが存在する。

そして、毒キノコに興味を持った人達は一度でも考えたことはあるのではないか。「世界にはどんな毒キノコがあるのだろうか」と。

この記事では国外にまつわる様々な毒キノコ事情や、日本未記録の毒キノコについて書いていきたい。

ヨーロッパで誤食されやすい毒キノコ

ヨーロッパではキノコの食文化がとても盛んである。

世界三大珍味の一つで有名なトリュフ。世界三大キノコの一つであるポルチーニ。世界で最も消費量の多い天然キノコであるジロール。フランスでは高級食材として重宝されるモリーユなど、様々なキノコが食される。

一方でやはり毒キノコによる中毒事故は多く。特にタマゴテングタケは最も危険な猛毒キノコの一つとして知られている。

そんな中、我が国ではウラベニホテイシメジ(食)とクサウラベニタケ(毒)が非常に誤食されやすいように、この誤食されやすい二つの食毒菌の組み合わせがヨーロッパでもあるようだ。

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それがハイイロシメジ(食)とイッポンシメジ(毒)の二つである。我が国でもイッポンシメジは自生するが、ヨーロッパでは特に中毒者が多く、その中でもハイイロシメジと誤食される例が後を絶たない。

その中毒例の多さから「裏切り者」「 キノコ好きの下剤」などとも呼ばれる。美味しいキノコを食べるはずが、下剤を食べていたなんて少々笑い話にも思えるが、食べた後の苦しみを知っている人からすればちっとも笑えないだろう。

このキノコを食べると30分〜2時間ほどで下痢、嘔吐、頭痛などの症状を起こす。けして致命的な毒性ではないが、海外では死亡例があるという。

ちなみに上の画像はイッポンシメジ。ハイイロシメジとは確かに似るが、成熟してもヒダが紅くならない点で区別ができる。

イグチ類による死亡事故。その原因は?

「イグチって毒キノコが殆どなくて結構安全だよね」そんな風に考えた人もいるだろう。

たしかにイグチは優秀な食菌ばかりが目立ち、毒キノコはあまり聞かない。ましては死亡事故なんてあるのだろうかと思うかもしれないが、実はあるのだ。

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海外ではイグチの一種である「Boletus pulcherrimus(ボレトゥス・パルチェリマズ)」による死亡事故が記録されている。我が国では発見されていないイグチである。

初めて中毒死が報告されたのは1994年のこと、とある夫婦がB.pulcherrimusを食べたところ、激しい腹痛を起こし、その後、夫が死亡した。原因は腸閉塞によるものと思われる。

その他にもオーストラリアでイグチのキノコを食べ、ムスカリン中毒をきたし死亡した例も報告されている。

我が国のイグチの方は安全かと言えばそうでもない。ミカワクロアミアシイグチ、バライロウラベニイロガワリなどの猛毒キノコが確認されており、もはやイグチ安全神話は崩壊寸前と言っても良い状態である。

猛毒キノコを食べる国

一言に毒キノコと言っても全ての毒キノコが食べられない訳では無い。一部にはお酒と一緒に食べる場合のみ発症するヒトヨタケや、長期間の塩漬けを行うことで食べられるベニテングタケなどがある。中には猛毒キノコを食べる国があるらしい。

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「シャグマアミガサタケ」をご存じだろうか。脳状のような頭部が特徴で、見た目からして猛毒臭が漂うが、実際に猛毒。いくつか死者も出ている。

そんな猛毒キノコを毒抜きしてさぞ当たり前のように食べている国が存在する。それは北欧、特にフィンランドでは珍味として親しまれ、一般的に食べられているという。

「猛毒キノコを食べるなんて信じられない!」と思うかもしれないが、猛毒魚を食べている我が国が言えた事ではないだろう。

シャグマアミガサタケの毒成分は水溶性なので、繰り返し何度も茹で溢すことで殆どの毒を除去することができる。そこまで手間をかけて食べる価値があるかは疑問だが、興味があれば試してみると良い。

缶詰も販売されているらしいが、もちろん毒抜き済み……と思いきや、毒抜きされているものと、毒抜きされていないものがあるので、油断していたら命の保証がない。

缶詰で死ぬなんて笑いものにされてしまいそうなので絶対に説明を読んでおこう。

中国人を襲う黒い悪魔

多くの種類が有毒とされるテングタケ類。猛毒キノコの上位ランカーを埋めるものこのグループである。そんなテングタケ類の中に「クロタマゴテングタケ」というキノコがある。これも猛毒キノコの一つとして知られる。

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「クロ」とは言っても全体が真っ黒ではなく、ヒダの部分は他のテングタケ類と同じ白色である。

名前の似たキノコでシロタマゴテングタケがあるが、「白と黒を合わせてタマゴテングタケ姉妹!」なんてネタは特にない。

そんな話はどうでもいいとして、このクロタマゴテングタケは中国で大勢の死者が出ているという。

具体的な中毒者数を述べると、とある海外の情報によれば、近年の中国南部では中毒者が352名、死者は79名と書かれていた。

我が国で最も危険な猛毒キノコであるドクツルタケによる死者数を遥かに上回っているというのだから驚きだ。

中毒症状はドクツルタケと同じ、摂取すると6〜24時間後にコレラ様の腹痛、下痢、嘔吐などの症状を起こすが、1日程度で回復する。

その後は肝臓や腎臓の細胞がジワリジワリと破壊されていき、やがて症状に現れ、適切な治療を行わないと肝不全、腎不全によって死に至る。

正しく黒い悪魔である。

猛毒のフウセンタケ

1950年代のポーランドで重度の腎炎を起こす病気が流行した。発症者は100人以上で、20人以上の命を奪われたという。

その謎の病気の正体は感染症でもウイルスでもない。そう毒キノコが原因だったのだ。

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そのキノコの名は「Cortinarius orellanus(コルティナリウス・オレラヌス)」。非常に高い毒性を持つキノコとして恐れられ、「フールズ・ウェブキャップ(Fool's Webcap)とも呼ばれている。

含まれる毒成分であるオレラニンは除草剤のパラコートに似た毒性を示すという。食べると、インフルエンザ様の症状が現れ、3〜14日の長い期間を経て喉の渇き、頻尿、腎臓の痛みなどの症状を起こし、適切な処置を行わないと腎不全によって死に至る。

たとえ回復しても腎障害が残ることもあり、重症であった場合、一生背負い続けなければならないという。

当時、我が国では発見されておらず、猛毒のフウセンタケは存在しないとされていたが、2011年10月13日、新潟で採取されたキノコがC.orellanusであると判明。

それに従い名付けられた和名は「ドクフウセンタケ」であった。

美味しいキノコだったはずが……なぜ毒キノコ扱いに?

極めて美味な食菌として親しまれていたキシメジとシモコシ。どんな料理にも抜群に合い、特にダシを利用した炊き込みご飯は絶品であった。

この2種が突然、猛毒キノコに変更されたという。

こどもの頃から食べていた人には信じ難い話であるが、事実である。そもそも我が国では一件も食中毒が報告されていないのに、なぜ?という感じだが、ヨーロッパでは死者を含んだ食中毒がいくつか報告されたというのだ。

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食中毒を起こしたキノコは「Tricholoma equestre(トリコローマ・エクェスト)」で、キシメジ・シモコシの近縁種だが、この2種と同種であると語る学者もいる。フランスでは優秀な食菌として食べられてきたが、数回続けて食べ続けると中毒を起こすことが分かった。

症状は含まれる毒成分が筋肉を溶かし、その溶解物が臓器に障害を与えるもので、いわゆる「横紋筋融解症」をきたす。中毒者は12名が報告され、うち3名が死亡している。

この食中毒をきっかけにT.equestreは毒キノコに分類され、キシメジとシモコシがT.equestreと同種である見解があるので、現在に至る。

しかし、我が国では食中毒がない上、中毒を起こしたキノコと同種である明確な証拠がないのだから、納得できる理論ではないだろう。

ではどうすれば良いか?そんな情報に惑わされず食べれば良いのだ。たぶん大丈夫だから。もし何があっても自己責任であるが。

雲南白い悪魔

キノコの食文化が盛んである中国。キクラゲなどが料理に良く消費され、我が国では馴染みがないが、フクロタケというキノコの栽培が盛んに行われている。一方で毒キノコによる中毒事故も絶えない。

そんな中、中国雲南省で毎年、秋になると原因不明の突然死を起こす例が発生していた。死者の多くは健康体であったという。

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原因はやはりキノコ。ホウライタケ科の一種である「Trogia venenata(トロギア・ヴェネナタ)」によるものであることが後に明らかとなった。全体的に白色で、スギヒラタケにも似ている。

単離された毒成分はアルキンを含んだ二種のアミノ酸。猛毒成分ながら実にシンプルな構造をした物質である。マウスに対しても毒性を示し、本種が突然死の原因であることは間違いなさそうだ。

このキノコによる犠牲者はなんと過去300人以上とされ、食べた後の症状は何も起きないか、軽い症状を経て死に至る。何の前触れもなく急に死が訪れ、日常活動中に突然バタリと逝ってしまうというのだ。

突然死の原因がT.venenataによるものと判明したその後、雲南省の人々にこのキノコを口にしないよう警告をした。それ以来、人々が突然死を起こすことはなくなったという。

 

……以上である。海外の毒キノコに関する情報は、検索しても思いのほか出てこないので、このような記事を作ってみた。

他にもマジックマッシュルームによる死亡事故や、国内未記録であるドクツルタケ似の猛毒キノコなどもあるが、全て紹介するとあまりにも長くなってしまうのでハブかせてもらった。

余談だが、世界で最も毒性の高いキノコはカエンタケである。やはりこれほど毒性が高いキノコは世界中を回っても本種しか例が無いようだ。

【猛毒】Trogia venenataの毒成分・中毒症状など

最終更新日:2023年8月5日

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Trogia venenata(読み方:トロギア・ヴェネナタ、和名なし)とは、ホウライタケ科クチキサカズキタケ属に分類されるキノコ。我が国では発見されておらず、中国南西部に位置する雲南省で自生が確認されている。

当時、雲南省では健康な人々が原因不明の突然死を起こす例が多発した。これは「雲南省突然死症候群」とも呼ばれ、数十年に渡って少なくとも300人以上が犠牲になったという。

2010年に毒キノコであるT.venenataが原因であることが分かり、長らく続いた原因不明の病に終止符を打った。一見すると食べられそうにも見えるが、危険性の高い猛毒キノコの一つとされる。

特徴

形態に関する情報は少ないが、画像を見る限りでは、樹上生である。全体的に白色であること。ヒダは柄に対して垂生し、幅広く疎、といったところか。

味の方は犠牲者が多い事から判断すると、特に不味いものではないのだろう。

形態はスギヒラタケに似ているが、特徴と言えるような特徴はあまりない。

毒成分

中国の研究グループはT.venenataの毒成分について調べてみた結果、アルキンを含む二種のアミノ酸(2R-アミノ-4S-ヒドロキシ-5-ヘキシン酸、2R-アミノ-5-ヘキシン酸)が単離された。

これらのアミノ酸はマウスに対して重度の低血糖を起こし、致死性も確認されている。

脂肪酸のβ酸化と糖新生を阻害することにより、血糖値の急速な減少を引き起こすとされ、このキノコによる犠牲者の血液からも同様のアミノ酸が検出されたことから、本種が突然死の原因であることが明らかになった。

中毒症状

このキノコを食べた死者のおよそ半数は間に自覚症状が出ないまま突然死に至るとされる。

ある者は突然意識を失って10分も経たず死亡が確認。ある者は昏睡状態に陥り24時間以内に死亡。ある者は眠りから目覚めないまま息絶えた。

主な自覚症状としては軽症の場合、軽いめまいや疲労感などが現れる程度だが、危険な領域だと突然死の数時間前に動悸、胸の不快感、発作などの症状が出てくることがあり、失神を何度も繰り返すケースも確認される。

重症の場合、異常な血糖値の急低下による心室頻拍、心室細動を引き起こしたのち、昏睡、急性心不全によって死に至る。

その他の症状として吐き気、腹痛、下痢、嘔吐、痙攣、尿失禁などが確認されており、突然死を起こした人々の遺体解剖では肝・肺・脾臓などのうっ血、肝臓のリンパ球浸潤、肺水腫、腎細胞・肝細胞の壊死を起こしていた事が分かっている。

本種の毒性が解明してからは雲南省の人々にこのキノコを食べないように警告がなされた。それ以降、突然死は殆ど見られなくなったという。

余談

🍄種小名の「venenata」はラテン語で有毒であることを意味しているが、本種の学名は命名規約に違反しており、今後変更される可能性がある。

🍄突然死の原因がキノコと分かるまでは腸管内で増殖するコクサッキーウイルスによってセレン欠乏症(セレン欠乏を主とする栄養障害で現れる病)を引き起こすのが原因と考えられていた。

🍄命に係わるほどの低血糖はほとんどの場合、糖尿病のような基礎疾患が原因で起こるものであり、T.venenataのような自然毒で重症の低血糖になる例はあまり知られていない。空腹時の血糖値の平常は70~100mg/dl。これが何らかの原因で50mg/dl以下になると深刻な症状に陥る危険性がある。

🍄T.venenataの毒成分であるアミノ酸は未熟なライチやアキーなどの果物に含まれる「ヒポグリシン」という毒素と類似の構造を持つ。

実際、ジャマイカで食用とされているアキーは食べ方を誤るとT.venenataと同様、重度の低血糖に陥って死に至る危険性があり、アキーの摂取によって引き起こした症状は「ジャマイカ嘔吐病」とも呼ばれる。

また、インドではライチを食べた子供たちが低血糖や急性脳症などによって突然死が多発した例もある。これはかなりの空腹状態かつ未成熟のライチを食べるという条件が重なって起きたもので、少なくとも日本でそのような例は報告されていない。ただ熟していても大量摂取で低血糖を起こすケースもあり、ライチの食べ過ぎで現れる症状は「ライチ病」とも呼ばれる。

 
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シモコシの特徴・毒性など

最終更新日:2017年9月3日

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シモコシ(霜越、学名:Tricholoma auratum)とは、キシメジ科キシメジ属に属するキノコ。シモタケとも呼ばれる。霜越という和名は冬が近づいて霧が降りる寒い時期に生えてくることが由来である。

ほぼ同じ形態を持つキシメジ(T.flavovirens)というキノコがあり、これらを同種とする説もある。この二つは日本では非常に美味しいキノコとして親しまれてきたが、とあることが原因で毒キノコに分類された。詳しくは後述。

ここでは食用としてのシモコシと、毒菌としてのシモコシに関して書いておくことにする。

特徴

霧の出る秋遅く、主に海岸近くのクロマツ林に発生するが、土壌の環境さえ整っていれば内陸にも発生することが確認されている。

傘は怪5〜10cm、初めまんじゅう形のち中高の平らに開く。表面は平滑で、色は鮮黄色、中央は帯褐色の細鱗片が付着する。

ヒダは鮮黄色で、柄に対して湾生〜離生し、やや幅狭く密。

柄は太く短い。表面は平滑で、傘と同色。肉はほぼ白色で苦味、辛味はない。

胞子紋は白色。胞子は楕円形、表面は平滑で、大きさは6〜8×4〜5μm程となる。

よく似たキノコ

キシメジ、カラキシメジ(食不適)、ニオイキシメジ(食不適)が形態的によく似ている……というか齧ってみないと殆ど見分けが付かないことも。

キシメジは広葉樹林に発生し、本種と比べ柄が細く、苦味を持つ点で区別できる。

カラキシメジはキシメジと形態は同じだが、名前の通り辛味を持っている。

ニオイキシメジは形態こそ似ているものの、カーバドガス臭とも例えられる強烈な臭いがあるので容易に区別できる。

調理法

シモコシは風味に癖は無く、歯切れも良く極めて美味しいキノコである。

ただ本種は基本的に松葉の下に埋もれるように発生するので、砂や葉が多く付着している分、下ごしらえに時間が掛かるのが難点。

キシメジの方は苦味があるので、これを取り除くために水に晒す、茹で溢し、塩漬けなどして苦味を取ってから調理すると良い。

基本的にどんな料理にもよく合い、和食、洋食なんでも構わない。そのまま焼いて食べるもの悪くないが、良い出汁が出るので汁物や煮物、特に炊き込みご飯はおすすめの一品である。

なぜ毒キノコ扱い?

食菌としてこれほど優秀なキノコがなぜ毒キノコに分類されたのか。

日本において中毒例は1件も報告されていないが、ヨーロッパでは当時食用とされていたT.equestre(シモコシ・キシメジの近縁種、または同種)による死者を含んだ食中毒がいくつか報告された。中毒者は12名、そのうち3名が死亡している。

中毒のメカニズムはこのキノコに含まれる毒成分により骨格筋が融解し、筋細胞成分が血中に流れ出すことで発症する横紋筋融解症で、重症な場合は腎不全に至る。

中毒者は発症前の2週間でT.equestreを3回以上食べていたことから、何回か続けて食べる、あるいは一度に大量摂取することにより発症するものと思われる。

そして中毒事故によりT.equestreの近縁種であるキシメジにも有毒の疑いが出始め、T.equestreと同種である可能性を考えた結果、毒キノコに分類されることになった。

これに従いキシメジと同種という見解もあるシモコシも同様に毒キノコとして扱われるように。何とも腑に落ちないザル理論である。

毒成分・中毒症状

シモコシ・キシメジに毒成分を含むかは不明だが、T.equestreには2-シクロプロペンカルボン酸が含まれる。これはニセクロハツに含まれる毒成分として有名で、生物が持つ毒素としては最小の分子である。

中毒症状に関しては「日本の毒キノコ」で以下のことが書かれていた。

「数回続けて食べた1〜3日後、筋力の低下、吐き気、発汗などの症状が現れる。軽症なら約1ヶ月で回復するが、重症の場合は心筋炎、不整脈、腎不全を経て死に至る」

……とのことだ。日本産のものは毒性が疑問だが、これを食べるかどうかは自身の判断に任せる。日本産は食べても問題ないと思われるが、ヨーロッパ産のものを食べるのは避けるべきだろう。

余談

🍄シモコシの学名である「Tricholoma auratum」には「黄金色のキシメジ」という意味がある。キシメジも岩手では地方名として「キンタケ」とも呼ばれ、この二種はところどころ金色を協調しているのが分かる。

🍄同じく和名に「霜」と付くキノコとしてシモフリシメジ(食)があるが、和名の由来はシモコシと同じく、霧の降りる秋の遅くから発生することから来ている。こちらは地方名で「ギンタケ」とも呼ばれる。

🍄余談の余談だが、キンタケとギンタケ……これを聞いて金さん銀さんを思い出すのは自分だけなのだろうか。


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Psilocybe cyanescensの毒成分・中毒症状など

最終更新日:2017年7月24日(画像はWikipediaより)

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Psilocybe cyanescens(読み方:シロシベ・キアネセンス、和名なし)とは、モエギタケ科シビレタケ属のキノコ。「cyanescens」とは青みがかかっていること意味しており、傷つけると青く変色する特徴から来たと思われる。

本種はマジックマッシュルームの一つとして知られ、食べると幻覚症状をきたす。毒性はマジックマッシュルームの中でも高く、死亡例が報告されている。また栽培も比較的容易に可能。

特徴

主に秋〜冬にかけて、硬材などの木材に発生する。主に北アメリカ、ヨーロッパなどで見られ、一部の西アジア(イラン)でも発生が確認されている。日本では未記録。

傘は始め饅頭型、のち中高の平らに開き、しばしば波打つ。表面は湿ったときは栗褐色、乾燥すると淡い黄褐色となる。縁には条線がある。

ヒダは淡い肉桂色で、柄に対して直生〜垂生し、幅が広く疎。

柄は細長く上下同大。表面はやや褐色を帯びた白色で綿のような模様が見られ、傷つけると青変する。

胞子は楕円形で、大きさは9〜12×5〜8μm程となる。

毒成分

含まれる毒成分はインドールアルカロイドシロシビン

幻覚症状の原因物質にして多くのシビレタケ属に含まれる成分であり、本種はWikipediaでは最もシロシビンの含有率が高いキノコとして記されている。

中毒症状

症状は30分〜1時間ほどで悪寒や吐き気が伴う腹部不快感、ふらつき、めまいなどの症状が現れ、2時間を越えると興奮、幻覚、幻聴、精神錯乱、麻痺、手足の痺れを引き起こし、やがて時間、空間の認識さえままならなくなる。

通常は摂取後10時間以内に症状が収まるが、重症な場合は昏睡状態に陥るという。

死亡例

シロシビンによる毒性で死に至ることはほぼ無いと思われるが、本種は上記に述べた通り、最もシロシビンの含有率が高いキノコの一つであり、危険性が高い。事実、海外で死亡事故がある。

1962年のオレゴン州では女児がこのキノコを食べて高熱を発して入院したが、その3日後に死亡したという例が報告されている。

安易に手出しようものなら「ちょっと幻覚を試してみるつもりが永眠しました」という事態が冗談抜きで起こりかねないのだ。

ただ日本では幸いにも本種のような毒性の強いマジックマッシュルームは発見されていない。今のところであるが。


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ミナミシビレタケの毒成分・中毒症状など

最終更新日:2017年5月1日(画像はWikipediaより)

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ミナミシビレタケ(南痺茸、学名Psilocybe Cubensis)とは、モエギタケ科シビレタケ属に属するキノコの一種。シビレタケモドキとも呼ばれる。日本では和名よりも学名である「P.cubensis(シロシベ・クベンシス)」でよく知られる。

本種はいわゆるマジックマッシュルームの一つとして知られており、食べると幻覚、幻聴などの症状をきたす。

広く分布し、人工栽培も容易なことから世界では最もよく知られるマジックマッシュルームである。後に日本でも八重山諸島で自生が確認され、1997年に「ミナミシビレタケ」の和名が付けられた。

なお、本種は日本において国の法律により麻薬原料植物に指定されている。以前は合法ドラッグとしてもよく使用されていたが、現在では採取しただけでも罰せられてしまう。

特徴

四季を問わずほぼ年中見られ、主に野生動物の糞上に発生する。日本では八重山諸島沖縄本島などに自生することが確認されている。

傘は初め円錐形で、のちまんじゅう形から凸型に開く。表面は黄色〜黄褐色で、 湿っているときは粘性がある。

ヒダは初め白灰色だが、成熟に従い黒くなる。柄に対して直生〜上生し、やや幅広く密。

柄は表面が傘とほぼ同色だが、上部と基部は白色となる。 上部には内側が暗紫褐色のツバがあり、基部には白色菌糸を持つ。

傘、ヒダ、柄は傷つけると青変するが、これは殆どのマジックマッシュルームに共通する特徴である。

胞子は楕円形、大きさは11〜17×7〜12μm程となる。

毒成分

毒成分はインドールアルカロイドの一種である「シロシビン(Psilocybin)」を含み、幻覚を引き起こす原因物質である。熱に対し強く、加熱しても殆ど分解されない。

同様の毒成分を含むキノコは日本ではヒカゲシビレタケを始めとして様々な種類が知られている。

中毒症状

摂取すると30分〜1時間ほどで悪寒、吐き気、ふらつき、めまいなどの症状が現れ、その後は興奮、幻覚、幻聴、精神錯乱、麻痺、手足の痺れを引き起こし、時間、空間の認識や自身の感情をコントーロールする事さえも困難となる。

症状は5〜6時間ほど続くとされ、1日あればほぼ平常に戻る。ひどい場合は痙攣、昏睡などの重症に陥る場合もあるが、本種の毒性で死に至ることはほぼないと思われる。

余談

🍄本種は今のところシロシベ・クベンシスと同種という扱いだが、実際はその亜種である可能性も否定できない。だが採取の規制もあり、研究が進まないのが現状である。

🍄youtubeなどの動画サイトでは本種の栽培動画がある。成長を記録したタイムラプスビデオなどもあり、興味があれば見てもらいたい。


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