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【なぜ名付けたし】ヘンな名前、おかしな名前のキノコ特集

シイタケやマツタケなど、日本ではおよそ5000種類あると言われるキノコ。そのうち何割か和名が与えられている。

だが必ずしも適切な名前が付けられるとは限らない。中には「そんなのアリ!?」と思ってしまう名前のキノコもあるという。

本記事ではそんな変わった名前、おかしな名前のキノコ、その他特殊なキノコワードを紹介していただこう。

バカマツタケ

どういう訳か「バカ」と名付けられてしまったマツタケの類似種。

みんな知る本家「マツタケ」はアカマツ林に発生することで知られるが、

バカマツタケミズナラ・コナラなどの広葉樹林に発生し、マツタケより数カ月早く姿を現す。

つまり「生える時期も発生場所も間違えるバカなマツタケ」という意味を込めて名付けられたのだ。

マツタケより香りが強い特徴を持ちながら、名前のせいで食用として重宝される事もあまり無かったが…

2018年に人工栽培の成功が発表され、一気に注目の的になった。いずれ安価で食べられる日が来るかもしれない。

オオワライタケ

ぎゃははははっ!と笑い声が聞こえそうな名前。嫌な予感しかしない。

食べると笑ってしまうと有名な「ワライタケ」に似た和名だが、実際は生物学的に縁が遠い種類である。

さらに毒キノコの一つで食べるとめまいや寒気、更に幻覚や幻聴、凄まじい興奮状態に陥ることも。これもう麻薬では…?

なお、名前の由来は大笑いする症状からではなく「顔が痙攣してる様が笑っているように見えたから」らしい。こっわ

ニセヘビキノコモドキ

もう何も知らない一般人からすれば、「ヘビ」なのか「キノコ」なのか、

それ以前に前後に「ニセ」と「モドキ」の二つがサンドされた非常にややこしい名前。

この名前が付けられた要因としては、

 

キリンタケ(別名:ヘビキノコ)という種があった。

キリンタケに似たキノコが見つかり「ヘビキノコモドキ」と命名

ヘビキノコモドキに似た種が見つかり「ニセヘビキノコモドキ」と名付けられた。

 

…という魂胆だと思われる。

ただこのキノコ、まだ名称以外の情報は殆どないのが現状である。

コレラタケ

なんと、かつて大流行した感染症コレラ」をそのまんま和名に付けられたキノコ食欲が消し飛ぶ名前。

このキノコは猛毒として1974年「ドクアジロガサ」と名付けられたが、

危険性をもっと分かりやすく強調して!」ということで、

コレラに似た激しい下痢を起こすことも相まって、こんな名前にされてしまったのだ。何とも不憫…

現代で例えると、仮に肺炎を起こす毒キノコがあったら「コロナタケ」と命名されるようなものである。

ちなみに症状が似てると言っても、コレラタケの毒性は特殊なたんぱく質合成阻害による内臓障害が主で、脱水症状が主な死因のコレラとは勝手が違うようだ。

マルミノトビチャニセフウセンタケ

真っ先に言うと、ひたすら名前が長い

16文字もあり、最も和名の長いキノコの代表格として挙げられたりする。

ちなみに同じ16文字のキノコは

「コブミノアラゲコベニチャワンタケ」

「ナガホウシアマミコロモタンポタケ」

などがあるようだ。覚えられる気がしない()

逆に最も和名の短いキノコは皆が知る「ナメコ」。こちらはスーパーでも見かける一般的なキノコである。

タマネギモドキ

名前はタマネギに偽った何かを思わせるが、キノコである。

そう、タマネギではなくキノコ(大事なことなので二回言いました)

ニセショウロ類の一種で見た目はどちらかと言うとジャガイモ寄り。しかも食べると下痢や嘔吐を起こす毒キノコという始末。

ちなみにタマネギモドキの他に「ジャガイモタケ」という種もあり、森でジャガイモを見かけても、それはキノコなのでお間違いなく。

Rubroboletus satanas

和名はウラベニイグチ。こちらは普通だが問題は学名。

種小名の「satanas(サタナス)」はなんと、そのまんま「悪魔」を意味するのだ。

通称「悪魔のイグチ」とも呼ばれ、こんな物騒な単語が使われたキノコが食べられるはずなく、激しい消化系中毒を起こす毒キノコである。

ところで過去、生まれた子供に「悪魔」と名付けようとして拒否された「悪魔ちゃん命名騒動」があるが、キノコならセーフらしい。知らんがな

ヌメリイグチ(別名:マグソタケ)

ナメコのようなヌメリを持ち、イグチ類として優秀な食用キノコの一つ

ただ別名は「馬糞茸」と書いてマグソタケ。この時点で例により食欲が消え失せること間違いなし。なぜ名付けた

味噌汁や和え物、煮つけなどの和食に合うが、少し消化は悪く食べ過ぎるとお腹を壊すことがある点には注意。

美味しいキノコだからマグ…名前は気にするな!

真のニセクロハツ

真の…?ニセ…?と思わず矛盾とツッコミどころを感じさせるこの言い回し。

何があったのか、このワードが生まれた過程は以下の通り。

 

クロハツというキノコがあった。

クロハツに似た猛毒の「ニセクロハツ」が見つかった。

実はニセクロハツにもよく似たキノコが沢山あった。

でもニセクロハツ似のキノコはどれも猛毒成分を含まなかった。

猛毒成分を有していたのは「真のニセクロハツ」一つだけだった。

 

…そうして「真のニセクロハツ」と言われるようになったのである。

なにせ正式名は「ニセクロハツ」。このキノコを専門的に語る上で、そーゆー言い回しをせざるを得ない場面が多々あるのだ。

キノコ愛好家には問題なく意味が伝わっても、一般人から見れば謎の言い回し、それがこのワードの特徴だ。

ちなみにニセクロハツ似のキノコは一部で「ニセニセクロハツ」とも呼ばれる。もうええわ!

まとめ

いかがだっただろうか。

キノコと言えば健康効果、不思議な生態、見た目のインパクト、毒キノコなどに話題が偏りがちだが、

本記事ではあえて名前の印象に重点を置いた内容にさせていただいた。

キノコもこれだけ種類があると一部には特殊な名前を付けられてしまう、それも仕方がないのかもしれない。