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カブラアセタケの毒成分・中毒症状など

最終更新日:2016年12月21日

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カブラアセタケ(蕪汗茸、学名:Inocybe asterospora)とは、アセタケ科アセタケ属に属するキノコの一種。和名の「カブラ」とは柄の根元がカブラ状に膨らむ特徴から来ている。

多くは毒キノコとして知られるアセタケ属だが、本種も例外ではなく毒キノコの一つ。本種は一部で猛毒という情報もあり、注意を要する。

特徴

夏〜秋にかけて、広葉樹林まれに針葉樹林の地上に単生〜群生する。

アセタケ属では比較的小型の部類に入り、傘は直径2.5〜3cm、始め円錐形のち中高の平らに開く。表面は繊維状で、くり褐色でのち放射状に裂ける。

ひだは汚白色、のち帯褐色で柄に上生し、やや幅広く密。

柄は上下同大だが、基部がカブラ状に膨らみ、中実。表面は傘と同色で、下方に向かって白くなる。

胞子は星型。大きさは9〜12×8〜11μm程となる。

また、カブラアセタケ近縁種の存在が知られており、形態的な特徴はカブラアセタケとほぼ同じだが、胞子のイボが低く丸みを帯びていることからその近縁種と同定された。

毒成分

含まれる毒素はアルカロイドの一種であるムスカリンを含む。

ベニテングタケによって初めて単離された毒成分だが、含有量はカブラアセタケの方が遥かに高い。

中毒症状

食べると早いときは15分、遅くても数時間ほどで症状が現れる。

発汗、流涙、流涎、そして嘔吐、下痢などいわゆるムスカリン中毒を起こし、その他にも痙攣、瞳孔の縮小、 徐脈、視覚障害、血圧低下。最悪の場合は心臓発作、呼吸困難などによって死に至る。

中毒例

本種による中毒例は現在のところ2件報告されている。

1件目は2006年9月、長野県小県郡で発生した。

当時92歳の女性が自宅の庭で採ったキノコをゆでて食べたところ、吐き気などの消化系中毒を訴えて入院したが、重症には至らず快方に向かっていった。

カブラアセタケによる食中毒は、統計を取り始めた76年以降、初めてのケースであった。

2件目はそれから10年近く経った2015年6月、鳥取県西伯郡で食中毒が報告された。

同保健所によると、70代の男性は27日午後6時頃、キノコを茹でて食べ、約2時間後から下痢やふるえ、発汗などの症状が出たという。自ら119番して入院し、29日に退院した。

当たり前だが、本種による食中毒はこの県内では初めてである。

上にも書いた通り、一部では猛毒と言われるので注意してもらいたい。

余談

🍄種小名の「aster(アスター)」にはギリシャ語で「星」の意味があるが、これは胞子が星型であることから来ているのだろう。

🍄同様に猛毒とされているアセタケ属のキノコでは、オオキヌハダトマヤタケ、シロトマヤタケなどが存在する。更に同属のキノコ(クロトマヤタケ)による死亡例も出ており、本種に限らずアセタケ属の毒性は馬鹿にできない。


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