キノコの資料をゆっくり見ていってね!

毒キノコ好きの毒キノコ好きによる毒キノコ好きのためのサイト 毒キノコ図鑑……のような何かである

【猛毒】クロタマゴテングタケの毒成分・中毒症状など

最終更新日:2023年8月25日

f:id:coruthi:20191122000024j:plain

クロタマゴテングタケ(黒卵天狗茸、学名:Amanita fuliginea)とは、テングタケテングタケ属に分類されるキノコ。1953年に本郷次雄氏によって新種報告・命名された。

比較的小型種で、名前の通り黒ずんだ色合いが特徴のテングタケである。致命的な猛毒キノコの一つとされ、注意を要する。

特徴

夏〜秋にかけて、シイ、カシなどの広葉樹林の地上に発生する。大きさは小型〜中型。

傘の表面は繊維状、色は暗褐色で特に中央部の色が濃い。

ヒダは白色で、柄に対して離生し、幅狭く密。

柄は帯白色〜灰色で暗灰色の繊維状小鱗片に覆われ、時にだんだら模様をあらわす。上部には灰色で膜質のツバを持ち、基部には白色で袋状のツボがある。

胞子紋は白色。胞子は球形~亜球形で、大きさは8~10×7~9.5μm程となる。

よく似たキノコ

主に類似するキノコとして、

・クロコタマゴテングタケ(毒)

・ドウシンタケ(食)

などがある。

クロコタマゴテングタケはツバが淡黄色になっている点やツボの色や形から区別できる。ただし同様に有毒である。

ドウシンタケは全体的によく似るが、本種とは違い傘の縁部に放射状に条線がある点で区別できるが、縁部の条線は本種にも個体差で微妙にある……ように見える場合があり、手を出さないのが無難だろう。

この僅かな違いで食用・猛毒の二択に分かれるのは、一種のロシアンルーレットもいいところである。

毒成分・中毒症状

毒成分はアマトキシン類、ファロトキシン類を含み、タマゴテングタケシロタマゴテングタケと同様の中毒症状を起こす。

どんな症状かというと、食べると10時間〜24時間程で嘔吐、腹痛、下痢などの症状が現われるが、これら症状は1日ほどで回復。

…と思いきや、実際は偽りの回復期間で、その数日後に肝臓、腎臓の細胞が破壊され、最悪の場合は劇症肝炎や腎不全などにより死に至る、というものである。

確実な解毒剤もないゆえに、処置が遅れてしまえば臓器移植をしない限り助からないケースもある。

中毒例

日本において中毒例は殆ど見られないが、実は中国で多数の死者を出している毒キノコの一つ。海外の研究によれば1994年~2012年にかけて、

中国南部でクロタマゴテングタケによる中毒例が33件発生し、352人が中毒、79人が死亡したという。

また、これに他の猛毒テングタケ類も含めると死者は180人以上になる。

単純な総人口の差もあるが、毒キノコでは日本で最も死者の多いドクツルタケが1989年~2010年にかけて中毒者52人、死者11人というのを考えると、その被害規模の大きさが分かるだろう。

無論、日本でも今後中毒者が出ないとは限らないので口にしてはならない。

余談

🍄種小名のfuligineaは「黒褐色の」「煤色の」という意味を持つ。

🍄海外では「east Asian brown death cap(イーストアジア・ブラウン・デスキャップ)」の異名を持ち、日本語に訳すと「東アジアの死の茶色傘」の意味がある。


毒キノコ図鑑 TOP↓

coruthi.hatenablog.com