最終更新日:2015年11月25日
ツルタケ(鶴茸、学名:Amanita vaginata)とは、テングタケ科テングタケ属に属するキノコ。名前の由来としては鶴の首の如く、長くてスラリとした外見から来たものである。
毒菌だらけのテングタケ類では珍しく食用になることで知られるが、少量ながらも毒成分を含み、生食により中毒を起こすことがあるので、ここでは有毒として扱うことにする。
しっかりと火を通しても類似の毒キノコと誤食されるケースが報告されており、注意が必要。
特徴
夏〜秋にかけて、主に広葉樹林、針葉樹林などの地上に発生する。低地〜高地まで様々な範囲で見られ、世界的にも広く分布する。
中型で、傘は始め卵形、のち平らに開く。表面は灰色〜灰褐色で湿時にやや粘性を持ち、縁部にはハッキリとした条線がある。
ヒダは白色で、柄に対して離生し、やや幅が狭く密。
柄は中空、表面は白〜淡灰色で、下部はやや鱗片状。ツバを持たず、基部には膜質で白色のツボを持つ。
類似種
よく似たキノコは複数知られており、特にツルタケダマシ(猛毒)、タマゴテングタケモドキ(毒)などといった毒キノコは要注意。
ツルタケダマシは本種とは違いツバを持つ点で安易に区別できるが、人を死に至らしめる程度に強い毒をもっている。すなわちツバの有無は生死の分かれ目とも言えるだろう。
幼菌時は判断が難しく、個体によってはツバが脱落し、あたかも最初から無かったかのように見える場合もある。少しでも怪しいと感じたら採らないことが大切。
タマゴテングタケモドキも同様にツバを持ち、ヒダが淡紅色を帯びている点で区別できる。どちらかといえばツルタケダマシとの判別が面倒かもしれない。こちらの毒性は高くないとされる。
変種
その他にもツルタケの変種として白色のシロツルタケ(注)、樺色のカバイロツルタケ(注)などが確認されており、これらの違いは色のみで、同様に生食によって中毒する。シロツルタケはシロタマゴテングタケ(猛毒)によく似ており、手を出さない方が無難。
食・毒性
タマゴタケほどではないが、美味な食菌で癖のない風味からスパゲティ、オムレツ、味噌汁など色々な料理にも使える。だが上にも書いた通り、生で食べると中毒しやすい。
症状は摂取後十分〜24時間ほどで膨満感、腹痛、下痢、吐き気、などの胃腸系中毒を起こし、頻脈や不安感などの神経系の症状が現れることもある。
更に毒成分として溶血性タンパクを含み、その名前通り溶血を引き起こす可能性もある。
そのため食べる際には十分に熱を通すように注意されたし。
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