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キイボカサタケの特徴・毒性など

最終更新日:2015年9月15日(画像はWikimediaより)

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キイボカサタケ(黄疣傘茸、学名:Entoloma murrayi)とは、イッポンシメジ科イッポンシメジ属に属するキノコの一種。有毒として知られる。

名前の由来として「キ」は全体が黄色、「イボ」は傘の中央に特徴的な突起があることから来ている。

特徴

夏〜秋にかけて、広葉樹林や針葉樹林、雑木林など、ありとあらゆる林内の地上に単生〜群生する。日本以外ではロシア、ボルネオ、北アメリカなどで発生が確認されている。

傘は直径1〜4cm程で、初め円錐形、のち浅い円錐形に開き、中央は鉛筆の芯状のような突起がある。表面は明るい黄色〜ややくすんだ黄色で、縁は湿った時には条線があり、反り返り大きく波打つことがある。

ヒダは傘と同色だが、のち肉色を帯びる。柄に対して直生〜上生し、やや幅広く疎。

柄も傘と同色、中空で、基部には綿毛状の菌糸がある。

胞子は無色で、径10〜12.5µm、形は六面体(上からは四角形)となっている。

近縁種

本種には形や特徴が酷似する近縁種がいくつか存在する。有名どころではアカイボカサタケ(毒)シロイボカサタケ(毒)の二つだろう。

これらの違いとしては色が大きく異なる点で容易に区別できる。
まずアカイボカサタケは全体的に赤色、対するシロイボカサタケは白色となる。だが逆に言えば形態的な違いは殆ど色のみで、胞子の形も同じ六面体である。

この特徴から本種の亜種、変種、または同一種ではないかという見解もなされており、一部のキノコマニアからは赤・白・黄色の三つを合わせて「イボカサ三兄弟」と呼ばれる事もある。

いずれにせよ、これら三つはすべて有毒なので食べない事が望ましい。

赤・黄色の毒成分は不明だが、白色のみはムスカリンを含む事が報告されている。

更に話を広げると、近年になってからダイダイイボカサタケ(仮称:食毒不明)、ウスキイボカサタケ(食毒不明)といった近縁種も確認されている。イボカサ三兄弟が五兄弟になった件。

特徴としてダイダイイボカサタケの色は薄い朱赤色、ウスキイボカサタケは淡い黄色である。この二つも当然ながら有毒の可能性が高い。

色以外にも一部違いが見られるようだが、全体的に不明な点が多い。

毒性

図鑑によっては食毒不明と記されるが、ほぼ間違いなく毒キノコと考えて良いだろう。

症状としては食べると数時間ほどで悪心、嘔吐、腹痛、下痢など、典型的な胃腸系中毒を起こし、重症な場合は脱水状態に陥ってしまう。

毒性はあまり高くないと思われるが、日本では一件の死亡例が報告されている。

国内での中毒例は複数報告されており、いずれも本種による食中毒と確定している訳ではないが、海外ではいくつかの中毒例があるという。

食中毒に関する詳細はこちら→キイボカサタケ(黄疣傘茸)の毒性 - 医薬品情報21

これを見るに弱い毒性といえど油断してはならない。


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