最終更新日:2023年7月29日
ツルタケダマシ(鶴茸騙、学名:Amanita spreta)とは、テングタケ科テングタケ属に分類されるキノコ。「ダマシ」と名前に付く通り、ツルタケに似た形態が特徴。
ツルタケは十分に火を通せば食べられるが、本種は有毒で食べられない。
特徴
夏〜秋にかけて、コナラ、アカラシなどの広葉樹林の地上に発生する。
傘は始め卵型、のち半球型に開き、ほぼ平ら〜中高の平らに開く。表面は平滑、色は灰褐色〜淡灰色で中央が最も濃色。湿った時はやや粘性を持ち、縁にハッキリとした条線がある。
ヒダは白色で、縁は粉状。柄に対して離生し、やや幅狭く密。
柄はほぼ白色、上部には白く膜質なツバを持ち、表面は平滑〜ささくれ状となる。基部には白く膜質で袋状のツボを持つ。
胞子は広卵形〜ほぼ類球形、大きさは10.5〜14×7.5〜9.5μm程となる。
類似種
よく似たキノコとしては、
・ツルタケ(注意)
・タマゴテングタケモドキ(有毒)
…などがある。これらの違いを書いていく。
ツルタケ
色や柄の特徴など、写真を見比べれば意外と異なる点が多い。
決定的な違いはツルタケダマシと違ってツバを持たないこと。
個体によっては全く似ていないこともあるが、ダマシには柄の細い小型の個体もあり、その場合ツバの有無以外の特徴では判別しにくくなるだろう。
なお、ツルタケは生食で中毒するので注意。
タマゴテングタケモドキ
傘の縁に条線があり、ツバを持つなど本種と極めて酷似する特徴が多いが、
ヒダが淡紅色を帯びるという違いがある。しかし個体差でヒダの特徴が微妙な場合もあり。ツルタケに比べると判別は困難。
余談だが、このキノコは名前の割に本家タマゴテングタケとはビックリするほど似ていない。なぜ名付けたし…
こうした問題もあり、ヒダの特徴から別名「アカハテングタケ」とも呼ばれる。
毒成分
ツルタケダマシは毒成分としてアマトキシン類、溶血性タンパクを含むことが分かっている。
特にアマトキシン類はテングタケ属に含まれる猛毒成分の代表各。熱に対しても強く、ツルタケとは違い似ても焼いても食えない。
中毒症状
毒性は比較的強く、食べると激しい腹痛や下痢、嘔吐などの胃腸系中毒を起こす。
また、アマトキシン類を含むことから、肝臓、腎臓などに重大な障害をもたらす可能性もあり、ひどいときは命の危機に面する。
中毒例は殆どないが、過去にツルタケ似のキノコで中毒した記録がある。
ツルタケダマシ、またはタマゴテングタケモドキのいずれかによるものと思われるが、真相は分からないまま。似すぎてる上にどっちも毒だから仕方ない定期
余談
🍄本種は英語名でHated Caesar(ヘイティド・シーザー)とも呼ばれ、それに由来しているのかは不明だが、海外で別名hated amanita(ヘイティド・アマニタ)とも呼ばれる。hatedは「嫌われた」「憎まれた」などの意味がある。何があった
🍄種小名のspretaはラテン語の「spretus」に由来し、これは「蔑視」「軽蔑」もしくは「忌み嫌われている」などの意味を持つ。だから何があった。学者から見過ごされてきた種だったのだろうか…?
🍄本種は発生地域によって個体差が激しく、大型で柄に分かりやすいササクレを持つ個体もあれば、小型で柄は細く限りなく平滑に近い個体もある。別種の可能性もあるが、現状明らかではない。
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