最終更新日:2015年11月17日
アカヒダワカフサタケ(赤襞若房茸、学名:Hebeloma vinosophyllum)とは、ヒメノガステル科ワカフサタケ属に属するキノコの一種。元々はフウセンタケ科として扱われていたが、近年から再編が進み、ワカフサタケ属のキノコは「ヒメノガステル科」に変更された。
和名の以来は成長するとヒダが赤褐色になる特徴から来ている。
本種は動物の死体、及び排泄物などの分解跡に発生する、いわゆるアンモニア菌の一種である。アンモニア菌ではオオキツネタケのように食用になるキノコも存在するが、本種の場合は有毒で食べることはできない。
当時は食毒不明であったが、マウス動物実験によって毒成分を含むことが判明し、それ以来は毒キノコとして扱われている。
特徴
秋〜夏にかけて、動物の死体分解跡など、アンモニアが多く発生した林内の地上に単生〜群生する。中国や一部のアジアでも確認されている。
傘は径2〜5cm程で、始めまんじゅう形、のち中高〜ほぼ平らに開く。表面は平滑で、色は類白色〜淡茶色、中央が最も濃色で、周辺に向かって白くなる。湿ったときは粘性を持ち、縁に条線はない。
ヒダは始めほぼ白色、のち帯赤褐色となる。柄に対して深く湾生し、やや密。
柄はほぼ上下同大または下部に向かって膨らみ、幼菌時は上部にクモの巣状のツバを持つ。表面はやや鱗片状、色は白色〜淡茶色で、上部は粉状となる。
胞子は卵形〜アーモンド形で、大きさは9〜12×5〜5.7μm、表面は微イボに覆われ、胞子紋はヒダと同様に帯赤褐色となる。
また、アカヒダワカフサタケモドキ(Alnicola loctariolens)というキノコもあるが、これに関する詳細は不明。
毒成分
単離された毒成分はトリテルペンの「ヘベビノサイド(Hebevinoside)I 〜XI」。
マウスに対する致死性が確認されており、腹腔内投与または経口投与すると、上行性麻痺を起こし死亡させる。
中毒症状
詳しい症状は不明だが、恐らく下痢、嘔吐などの胃腸系に加え、痙攣が主な神経系の中毒を起こすと考えられ、少なくとも海外では同属の毒キノコによる上記のような症状が報告されている。
日本ではワカフサタケ属による中毒例は報告されていないものの、十分な注意を図りたいところだ。
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