最終更新日:2026年9月17日(画像はWikipediaより)

オオシロカラカサタケ(大白唐傘茸、学名:Chlorophyllum molybdites)とは、ハラタケ科オオシロカラカサタケ属に分類されるキノコ。有毒として知られる。
日本ではかつて一部地域でしか見られなかったが、地球温暖化にともない日本列島に北上。今でも分布域を拡大し続けている。
毒性はかなり強く、少量でも激しい消化系症状を引き起こすという。
特徴
春〜秋にかけて、庭園や提防などの芝生や草地の地上に発生する。
傘は中〜大型で、初め半球形からまんじゅう形となり、ほぼ平らに開く。表皮は帯褐色で成長するにつれて不規則に裂け、白色の地の上に片鱗となって散在する。
ヒダは密で柄に対して隔生し、色は初め白色だが、成熟に従って緑色を帯びていき、やがてオリーブ色となる。
柄は中空で、表面は白色〜灰褐色の繊維状で、基部は膨らむ。上部に厚い可動性のツバがある。
肉は白色で腐植臭があり、成熟すると汚れた白色の綿維状となる。
傘、柄、ヒダともに傷つけると赤褐色に変色する。
分布
オオシロカラカサタケは本来熱帯地域に分布するキノコで、かつて国内では沖縄や小笠原など自生する地域は限られていた。
しかし、1980年に大阪府、1991年10月には千葉県で発生が確認された。分布域は今なお広がりつつあり、2010年には宮城県での発生が確認。
令和の現在、日本ではごく一般的に見られる毒キノコになった。特に近年は大量発生により世間を騒がせている。
本種はある一定の温度がなければ生息できないと考えられ、地球温暖化の影響によって毎年の台風で運ばれた胞子が、温暖化しつつある日本列島に越冬できるようになったと推測されている。
類似種
外見的に似たキノコとしては、
・カラカサタケ(食)
・マントカラカサタケ(食)
などがある。
カラカサタケは傘の表皮が灰褐色で成長すると片鱗状に散け、ヒダは白色で柄は細長く鱗片状のまだら模様を表し、傷つけても変色しないなど、全体的に見れば判別は比較的容易。
美味な食菌だが、生食・加熱不十分だと中毒の原因になるのでしっかり火を通しておこう。
マントカラカサタケは柄が非常に細長く、マント状のツバを持つ点で区別できる。
美味しいキノコだが、カラカサタケと同様に生食は厳禁。
ドクカラカサタケは非常によく似るが、比較的小型で成熟してもヒダがオリーブ色にならず、また発生場所の違いからも判別可能。本種と同じく有毒。
毒成分
本種にはタンパク性毒成分「モリブドフィリシン」が含まれ、マウスに対する致死性が確認されている。
熱に対して比較的安定で一般の加熱調理では基本分解できない(ただし具体的な変成温度は不明)。水溶性の毒素でもある。
その他にも細胞毒を示すステロイド類を含む。
毒成分ではないが「レピオチンA、B」という化合物を含んでいる。
中毒症状
摂取すると30分〜3時間程で症状が現われる。
主に腹痛、下痢、嘔吐などの消化系中毒を起こす。その他に発熱、手のしびれ、悪寒、頭痛、痙攣、疝痛といった症状が現れる事もある。
重症化すると消化管の炎症による血便や腸からの出血、脱水症状、電解質喪失、血圧低下、唇・舌・爪が青く変色する症状(チアノーゼ)、低血量性ショックなどに陥り、最悪の場合は死に至る。
無事回復した中毒者の中には「三途の川を見た」「生と死の間をさまよった」という話もあり、その高い毒性がうかがえる。
また毒素のモリブドフィリシンは水溶性なので茹でこぼすと毒が数段弱くなると思われる
ただし茹でこぼしても食べたら普通に中毒する。弱くなる=無毒化ではない定期
中毒例
国内では平成元年〜22年にかけて、少なくとも14件と27名の中毒者が記録されている。これはハラタケ科による中毒例では最も多い数である。
これ以降もいくつか食中毒が報告され、例を挙げると…
2017年8月20日。午後3時ごろに名古屋市の公園でバーベキューをしていた30代の男性3人が近くに生えていたオオシロカラカサタケを焼いて食べたところ、1~2時間後に嘔吐などの症状を訴え入院。その後は快方に向かった。
また、彼らが何かの食用キノコと間違えた、という話はなく、状況から察するにそこにあったキノコが美味しそうだったから、そんな理由で食べたのだろう。なんて奴らだ
2019年8月29日には大阪府で70代男性が公園で採取したオオシロカラカサタケを炒めて朝食で食べたところ、嘔吐や下痢などの症状を訴え、救急車行きとなった。
なお、誤食されたキノコは不明。例によってそこにあったキノコが(ry
同年10月1日にも島根県で70代の男性が自宅付近の畑で採取したオオシロカラカサタケを調理して食べた男性が食中毒を起こした。男性は図鑑を見て毒キノコではないと判断したようだ。
その後しばらく中毒例が無かったが、4年後に再び猛威を振るう。
2024年6月20日。大阪府堺市で50代の男性が大泉緑地に生えていたオオシロカラカサタケを鑑賞用に採取して帰宅。それをじっくり眺めていた男性は立派なキノコを前にして、欲に抗えず食べてしまった(フライパンで炒めて調理)。その結果2時間後に嘔吐して緊急搬送、翌日退院した。
同年9月23日。今度は群馬県伊勢崎で80代の男性が散歩中に見つけたオオシロカラカサタケを採取し、生のまま食べた。生のまま食べた(大事な事なので2回言いました)。嘔吐や発熱の症状をきたし入院。幸い快方に向かっていった。
同年10月27日。次に兵庫県加古川市で2人の子どもが河川敷でオオシロカラカサタケを採取し生のまま食べた。生のまま食べた(大事な事なので以下略)
発症は30分と早く下痢や嘔吐の症状をきたして病院で処置を受けた。その後は快方に向かったという。
生で食べて良い天然キノコはカンゾウタケとキクラゲぐらいだぞ!
同年10月29日。山口県防府市で40代の女性が自宅の庭に自生していたオオシロカラカサタケをバター炒めにして母親と2人で食べたところ、
腹痛、下痢、嘔吐、手のしびれなどの症状を訴え入院。母親はキノコそのものを食べていなかったのか、無症状だった。
2026年9月3日には岩手県盛岡市で職場近くに自生していたキノコを食用のカラカサタケと勘違いし、4人で食べて全員発症。その後快方に向かった。
同年9月11日にも、徳島県で90代の女性が庭に生えていたキノコ(後にオオシロカラカサタケと推定された)を調理して食べ、嘔吐や下痢をきたし入院。幸い軽症だった。
今後も本種による食中毒が懸念されるだろう。
その他、過去にヤプログでは本種による中毒記があり、本人談による症状が細かく記されている。詳細はこちら↓
海外でも食中毒が後を絶たず、特に北米では最も中毒例の多いキノコの一つ。ごく稀ながら死亡例があるという。
その他にも犬が食べて中毒した例があり、被害は人間に限らないようだ。
余談
🍄ヨーロッパでは食用のカラカサタケは広く見られる一方、本種は発生が少なく知名度も低い。なので北米に移住した欧州キノコ愛好家が初めてカラカサタケと間違えて中毒、なんてケースもあるという。
🍄本種は時に大勢の個体が輪を作るように発生する光景が見られる。これは「フェアリーリング」という現象で、妖精が輪になって踊った地に痕が残ったような、そんなロマンチックな意味が込められている。
🍄モリブドフィリシンのようなタンパク性毒成分はシイタケやエノキなどごく一般的な食用キノコにも含まれる。本種の毒素とは違い、一般的な加熱調理で分解され無毒化できるので、結果的に食用に分類される。
🍄一部のニュースでは本種に対して「触るのも危険」と情報提供されるが、これは明らかな膨張表現であり、触るだけで皮膚に悪影響を及ぼす可能性のある毒キノコはカエンタケのみである。
とはいえ自然界において「よく分からないものに触らない」は基本的な知識なので、毒キノコも例外ではないのだろう。
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