キノコの資料をゆっくり見ていってね!

毒キノコ好きの毒キノコ好きによる毒キノコ好きのためのサイト 毒キノコ図鑑……のような何かである

オオシロカラカサタケの毒性分・中毒症状など

最終更新日:2023年8月4日(画像はWikipediaより)

f:id:coruthi:20191121072035j:plain

オシロカラカサタケ(大白唐傘茸、学名:Chlorophyllum molybdites)とは、ハラタケ科オオシロカラカサタケ属に分類されるキノコ。有毒として知られる。

日本ではかつて一部地域でしか見られなかったが、地球温暖化にともない日本列島に北上。今でも分布域を拡大し続けている。

毒性はかなり強く、少量でも激しい消化系症状を引き起こすという。

特徴

春〜秋にかけて、庭園や提防などの芝生や草地の地上に発生する。

傘は中〜大型で、初め半球形からまんじゅう形となり、ほぼ平らに開く。表皮は帯褐色で成長するにつれて不規則に裂け、白色の地の上に片鱗となって散在する。

ヒダは密で柄に対して隔生し、色は初め白色だが、成熟に従って緑色を帯びていき、やがてオリーブ色となる。

柄は中空で、表面は白色〜灰褐色の繊維状で、基部は膨らむ。上部に厚い可動性のツバがある。

肉は白色で腐植臭があり、成熟すると汚れた白色の綿維状となる。
傘、柄、ヒダともに傷つけると赤褐色に変色する。

分布

オシロカラカサタケは本来熱帯地域に分布するキノコで、かつて国内では沖縄や小笠原など限られた地域でしか知られていなかった。

しかし、1980年に大阪府、1991年10月には千葉県で発生が確認された。分布域は今なお広がりつつあり、2010年には宮城県での発生が確認されている。

本種はある一定の温度がなければ生息できないと考えられ、地球温暖化の影響によって毎年の台風で運ばれた胞子が、温暖化しつつある日本列島に越冬できるようになったと推測されている。

類似種

外見的に似たキノコとしては、

・カラカサタケ(食)

・マントカラカサタケ(食)

ドクカラカサタケ(毒)

などがある。

カラカサタケは傘の表皮が灰褐色で成長すると片鱗状に散け、ヒダは白色で柄は細長く鱗片状のまだら模様を表し、傷つけても変色しないなど、全体的に見れば判別は比較的容易。

美味な食菌だが、生食・加熱不十分だと中毒の原因になるのでしっかり火を通しておこう。

マントカラカサタケは柄が非常に細長く、マント状のツバを持つ点で区別できる。

美味しいキノコだが、カラカサタケと同様に生食は厳禁。

ドクカラカサタケは非常によく似るが、比較的小型で成熟してもヒダがオリーブ色にならず、また発生場所の違いからも判別可能。本種と同じく有毒。

毒成分

本種にはタンパク性毒成分「モリブドフィリシン」が含まれ、マウスに対する致死性が確認されている。

その他にも細胞毒を示すステロイド類を含む。

また、毒成分ではないがレピオチンA、Bという化合物を含んでいる。

中毒症状

摂取すると1時間〜3時間程で症状が現われる。

主に腹痛、下痢、嘔吐などの消化系に加え、発熱、悪寒、頭痛、痙攣、疝痛、血圧低下などの症状を引き起こす危険も。

時に血便になる場合があり、その他にも腸からの出血、電解質喪失、唇・舌・爪が青く変色する症状などが確認される。

中毒者の中には「三途の川を見た」「生と死の間をさまよった」という話もあり、その高い毒性がうかがえる。

しかし毒素は熱に不安定なので茹でると数段毒が弱くなると思われる。

中毒例

平成元年〜22年にかけて、少なくとも14件と27名の中毒者が記録されている。これはハラタケ科による中毒例では最も多い数である。

これ以降もいくつか食中毒が報告され、例を挙げると…

2017年8月20日。午後3時ごろに名古屋市の公園でバーベキューをしていた30代の男性3人が近くに生えていたオオシロカラカサタケを焼いて食べたところ、1~2時間後に嘔吐などの症状を訴え入院。その後は快方に向かった。

また、彼らが何かの食用キノコと間違えた、という話はなく、状況から察するにそこにあったキノコが美味しそうだったから、そんな理由で食べたのだろう。なんて奴らだ

2019年8月29日にも大阪府で食中毒が発生しており、70代男性が公園で採取したオオシロカラカサタケを炒めて朝食で食べたところ、嘔吐や下痢などの症状を訴え、救急車行きとなった。

なお、誤食されたキノコは不明。例によってそこにあったキノコが(ry

同年10月1日にも島根県で70代の男性が自宅付近の畑で採取したオオシロカラカサタケを調理して食べた男性が食中毒を起こした。男性は図鑑を見て毒キノコではないと判断したようだ。

被害は日本に限らず、北米では最も中毒例の多いキノコの一つでもある。

現在、幸いにも死亡例は報告されていない。

余談

🍄ヨーロッパでは食用のカラカサタケは広く見られる一方、本種は発生が少なく知名度も低い。なので北米に移住した欧州キノコ愛好家が初めてカラカサタケと間違えて中毒、なんてケースもあるという。

🍄本種は時に大勢の個体が輪を作るように発生する光景が見られる。これは「フェアリーリング」という現象で、妖精が輪になって踊った地に痕が残ったような、そんなロマンチックな意味が込められている。

 

毒キノコ図鑑 TOP↓

coruthi.hatenablog.com