最終更新日:2016年10月18日
ウスキテングタケ(薄黄天狗茸、学名:Amanita orientogemmata)とは、テングタケ科のテングタケ属に属するキノコの一種である。純粋な黄色ではなく、淡い黄色を帯びているのが特徴。
テングタケ科という時点でお分かりだろうが、毒キノコの一種でもある。元々は「A.gemmata」という学名であったが、とある理由で変更された。詳しくは後述の余談で。
特徴
夏〜秋にかけて、主にシイ、カシ、コナラなどの広葉樹林、時にアカマツが混じる雑木林の地上に発生する。日本以外の東アジア(韓国、中国)や北アメリカでも確認されている。
傘は淡黄色で粘性があり、表面に白色のイボが付着しているが、取れやすい。縁には条線がある。
ヒダは白色で、柄に対して離生し、やや幅狭く密。
柄は帯白色〜淡黄色、やや綿質のやわらかい鱗片に覆われ、時にだんだら模様を表すことがある。中部には膜質で白色のツバがあるが、脱落しやすい。
胞子は広惰円形〜楕円形で、大きさは7.5〜9.5×6〜7µm程となる。
類似種
よく似たキノコとしてヒメコガネツルタケ(毒)、ベニテングタケ(毒)などがある。
ヒメコガネツルタケはより小型で傘の周辺にハッキリとした条線があり、柄にツバがない点で区別できる。
ベニテングタケは傘が赤色だが、場合によって黄色を帯びることがある。色以外の違いとしては本種に比べやや大型、傘の縁に条線がほぼ見られない、表面のイボが取れにくい、柄のツバがより上部にあるなどの点で区別が可能。
毒成分
イボテン酸、ムシモール、スチゾロビン酸、スチゾロビニン酸、溶血性タンパクなど、さまざまな毒成分を含む。
イボテン酸、ムシモールに関してはベニテングタケの記事を参照してもらいたい。
中毒症状
含まれる毒成分からすると、おそらくベニテングタケと同じ消化系、神経系などの症状が主で、場合によっては幻覚をきたす可能性もある。
「日本の毒きのこ」では以下のような症状が記されている。
「軽いムスカリン中毒のように、発汗、意識混濁などを起こすが1時間ほどで回復する。また嘔吐、下痢などの胃腸系の症状も現れるが2〜3日ほどで回復する。」
……とのことだ。
毒性はベニテングタケよりも高いとされており、北米では死亡例があるという。
余談
🍄もともと本種の学名として使用されていたA.gemmataとは、主にヨーロッパ、アメリカなどで見られるキノコの一種で、当時はこれと同種として扱われていたようだ。
のちに日本産ものはA.gemmataと異なるものと判明して独立種として認められ、それに従い学名はA.orientogemmataに変更された。「orient」はラテン語で「東洋」の意味がある。
この事からA.gemmataは以降、本種によく似た別種という扱いになっている。ちなみにA.gemmataは海外では猛毒キノコとされ、本種よりも毒性が高いと思われる。
🍄本種は本州以南で広く分布しており、テングタケ類ではよく見られる種類の一つだが、その割には知名度が低く、名前が挙げられることも少ない。もしや黄色というカラー自体が人に印象を薄くさせているのだろうか。黄色はいらない子?それは無い
🍄国内では本種による中毒例が過去に一件だけ記録されている。だが詳細は不明なので、別に得をするような情報ではない。まさに余談
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