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ウラグロニガイグチの特徴・毒性など

最終更新日:2023年7月30日(画像はWikipediaより)

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ウラグロニガイグチ(裏黒苦猪口、学名:Sutorius eximius)とは、イグチ目イグチ科ウラグロニガイグチ属に分類されるキノコ。裏黒と名が付くように、傘の裏側が黒っぽいのがこの種の特徴。

元々はニガイグチ属に分類されていたが、近年になってからウラグロニガイグチ属(Sutorius)に変更された。ちなみに名前の割には苦くない。

当時は優秀な食菌として慕われていたが、近年から体質または調理法によっては食中毒を起こすことが明らかになり、現在では毒キノコとして扱うのが一般的となる。

 

特徴

夏〜秋にかけて、主にブナ科、マツ科などの樹下やコナラ、アカマツなどが混じる雑木林の地上に発生する。

傘は怪5〜9cm、始め半球形、のちまんじゅう形から殆ど平らに開く。表面は平滑、色はこげ茶色〜暗赤褐色で、湿ったときはやや粘性を持つ。

管孔は紫褐色、管口はより濃色で非常に小さい。柄に対して直生〜離生する。

柄は長さ6〜9cm、上下同大で、表面は紫灰色の地に暗赤褐色〜暗紫褐色の鱗片に覆われる。

肉は淡帯紫灰色で、変色性を持ち、傷つけると暗色に変色する。

胞子紋は淡紫褐色。胞子は平滑で長楕円形、大きさは10.5〜15.5×4〜5.5μm。

変種

このキノコには変種としてコウラグロニガイグチ「S.eximiusが存在する。

傘は怪2〜4cm、柄の長さは3〜4cmほどの小型種。管孔はやや明るい色で、不定形となる。柄は根元が赤みを帯びており、同定はそれほど難しくない。

本種と同じく、食べると中毒を起こす危険性がある。

食・毒性

味は強いコクと旨みを持ち、しっかりとした歯ごたえがある。

茹でると煮汁は真っ黒に染まるが、これが濃厚な旨みの成分でもあり、汁物や鍋物などでよい出汁が取れる。色合いは独特だが、美味なキノコとして知られていた。

だが上記にも述べた通り、体質によっては食中毒を起こす可能性があり、特に生食はごく少量であっても高確率で発症する。

現在のところ毒成分は不明

症状としては胃痛、生あくび、腹痛、下痢、嘔吐、時に発熱、悪寒など、主に胃腸系中毒を起こす。

場合によっては強度の症状を起こすこともあり、火を通しても食べないのが無難だろう。

中毒例

1998年、神戸市内のキャンプ場で採取したウラグロニガイグチ。柄の部分だけを輪切りにして生のまま複数人で食べたところ、10〜20分後に全員が激しい嘔吐、腹痛に加えて発熱を起こし、症状は2〜5時間ほど続いたという。

1999年の埼玉では、ウラグロニガイグチを入れたキノコ汁を約100人で食べたところ、そのうち30人が嘔吐する食中毒が発生。これを機に有毒としての扱いが多くなった。

また、横瀬町日向山の記録では煮汁をスパゲッティにからませて食し、10時間以上経ったころに胃の痛みが出始め、この胃痛が3日続いたという例もある。

これらの中毒事故は一部に過ぎず、海外でも北米でいくつか中毒例が出ている。

余談

🍄本種は海外で通称「Lilac Brown Bolete」と呼ばれ、Lilac(ライラック)は薄紫色が特徴の花、Brown(ブラウン)は茶色、そしてBolete(ボルテ)はイグチ類、それぞれの意味を持つ。

🍄種小名のeximiusラテン語で「傑出した」「素晴らしい」「並外れている」など、かなりプラスの意味が込められている。学者からは非常に魅力的な色合いとして名付けられたのだろうか。

 

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