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【猛毒】ジンガサドクフウセンタケの毒性分・中毒症状など

最終更新日:2023年6月28日(画像はWikipediaより)

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ジンガサドクフウセンタケ(陣笠毒風船茸、学名:Cortinarius rubellus)とは、フウセンタケ科フウセンタケ属に属するキノコの一種。当時の日本では未記録であったが、2001年9月2日、八ヶ岳の針葉樹林で採取され、日本新産として報告された。

国内ではあまり知られていないが、欧州では「デットリー・ウェブキャップ(Deadly webcap)」とも呼ばれ、同属のドクフウセンタケ(C.orellanusと同様に致命的な猛毒キノコの一つとして知られている。

日本国内で記録されているフウセンタケ科の猛毒菌は、現時点では本種とドクフウセンタケのみである。(同じくフウセンタケ科の猛毒菌のコレラタケ、ヒメアジロガサは近年になってヒメノガステル科に変更された)

特徴

夏〜秋にかけて、シラビソ・コメツガなどの亜高山帯針葉樹林の地上に発生。国内では八ヶ岳と富士山で発生が確認されている。

傘は中型、初め円錐形のち陣笠型に開く。色は橙褐色〜赤褐色で中央部が濃い。表面は鱗片に覆われている。

ヒダは茶褐色で柄に上生し、やや幅広く疎。

柄はこん棒状、橙褐色で表面には淡黄色の綿毛状の帯があり、だんだら模様をあらわすことが多い。

肉は橙黄色で、かすかに蕪のような臭いがするという。

ドクフウセンタケに似ているが、本種と比べて傘の中央があまり突き出していない点や、柄の特徴から区別できる。

毒性分

毒成分は「オレラニ」を含み、重い腎炎など腎臓に強い障害を与える成分である。

このオレラニンは除草剤のパラコートと類似の構造を持つことで知られる。

中毒症状

毒成分としてオレラニンを含むため、ドクフウセンタケと同様の症状を起こす。

具体的な症状としては、摂取すると4〜24時間ほどでインフルエンザ様の頭痛、嘔吐、腹痛、下痢などの症状が現れる。致命的な症状は3〜14日の潜伏期間を経て起こすとされ、遅い時は20日近くも掛かるという。

喉の渇き、頻尿、低張尿、利尿不全、腎臓の痛み、タンパク尿、まれに肝障害による黄疸・肝臓の腫れ、そして重度の腎炎などの症状を起こし、最悪の場合は腎不全の進行によって死に至る。

たとえ回復しても腎障害が残る可能性もあり、場合によっては一生抱え続けなければならないという。

治療法は腎機能の監視と透析で根本的な治療法は腎臓移植しかない。

中毒例

初めて本種による食中毒が報告されたのは1972年のフィンランド、中毒件数は4件で、そのうち2名が腎障害を背負い続けることに。

スウェーデンでは1979年〜1993年にかけて、22人の中毒者が出ており、うち9人は慢性腎不全により腎臓移植を余儀なくされた。

その他にも1979年ではスコットランドで本種による3人の中毒例もあるという。

日本での中毒例は報告されていないが、フウセンタケ属には未知種が多く、中には猛毒キノコが隠されている可能性がある。特に本種に似たキノコは十分な注意を払ってもらいたい。


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