キノコの資料をゆっくり見ていってね!

毒キノコ好きの毒キノコ好きによる毒キノコ好きのためのサイト 毒キノコ図鑑……のような何かである

クロハツの特徴・毒性など

最終更新日:2017年8月6日

f:id:coruthi:20191120173423j:plain

クロハツ(黒初、学名:Russula nigricans)とは、ベニタケ目ベニタケ科ベニタケ属に属するキノコ。名前の通り黒色が特徴のキノコだが、若い時は全体的に白〜灰色の場合が多い。

図鑑によっては可食と表記するものや有毒とするものがあるが、本種はどちらかと言えば毒キノコの部類に入る。じゃあ毒でいいわ。

昔から生食により中毒することが知られていたが、十分に火を通すことで可食と思われていた。しかし、海外では有毒として扱われ、近年になってから加熱しても消えない毒素を含むことが明らかになり、それ以来このキノコを食べるものは殆どいなくなった。

現在ではすっかり毒キノコとして扱われているが、少数であれどもクロハツを食べる人が今でも存在するようだ。

特徴

秋から夏にかけて、ブナ、コナラなどの広葉樹林やマツ、トウヒといった針葉樹林の地上に発生する。

中型〜大型で、傘は始め中央が凹んだ饅頭型から平らとなり、やがて浅い漏斗形に開く。表面は平滑、幼菌時はやや汚白色で、のち灰褐色〜黒褐色を帯び、最終的にほぼ黒色となる。湿った場所ではぬめりを持ち、表皮はつやがなく剥がしにくい。

ヒダは始め白色〜クリーム白色だが、成熟する頃には殆ど黒色となる。柄に対して直生し、幅広く疎。

柄は太く丈夫で剥ぎにくく、ほぼ上下同大。表面は平滑で、色は汚白色〜暗褐色となる。

傘、ヒダ、柄、肉のどの部分にも変色性を持ち、傷つけると赤色に変色し、それから数十分ほど経つと黒色に変色する。

胞子は類球形、表面は微細なイボと不完全な網目模様があり、大きさは7〜9×6〜7.5μm程となる。

老菌となった個体からヤグラタケが発生することもあるが、このキノコとの関係は不明。

類似種

良く似たキノコとしてクロハツモドキ(毒)、ニセクロハツ(猛毒)などといった類似種が知られ、特にニセクロハツは本種と誤食されて死亡した例がいくつか報告されており、注意が必要。

クロハツモドキは本種と比べてヒダがかなり幅狭く密なので、裏を見れば違いは明らか。
本種と同様、赤→黒と変色し、同じく生食により中毒する。

ニセクロハツは傘の表面がややスエード状、ヒダがクリーム色であるが、決定的な違いとして傷つけても黒変しない特徴を持つ。正確には赤変はするが、そこから赤のままで留まり黒変しないという事である。ただし、長時間経過すると多少灰色を帯びることがある。

その他にもヒダの密度がクロハツとモドキの間というアイバクロハツ(仮称)や、ヒダがやや赤みを帯び、変色性のないアカヒダクロハツ(仮称)、詳細は不明だがアカバクロハツモドキ、ヒメクロハツモドキなども存在する。

毒性

現在のところ毒成分は不明。上にも書いた通り、生で食べると中毒しやすい。

症状としては悪心、嘔吐、下痢などの胃腸系中毒を起こし、ひどいときは全身の痛み、麻痺などの症状が現れ、最悪の場合は死に至る。

死亡例もあるらしいが、詳細は不明。

調理法

毒キノコとは言っても食用として扱われていた歴史がある以上、どうしても食べたい人の為に調理法を紹介しておく事にする。

手始めに採取したキノコがクロハツだという確実な証拠が必要。包丁などで切断して黒変性を確認し、個体差があるが、おおよそ数十分〜1時間程で黒変する。

3時間以上経っても黒変しない場合は食べない方が良い。ニセクロハツと誤食してしまうリスクを避けるためである。

クロハツと分かれば大半は大丈夫だが、生で食べると死ぬ。

念のため薄くスライスして中までしっかり火が通るようにする。あまり食べ過ぎないよう心掛け、不安であれば一本だけに留める。これで最悪の事態だけは避けられるはずだ。

肉質はもろく、ボソボソした食感から歯ごたえはないが、風味には癖がなく汁物や煮物に使うとよい出汁が出る。特にバター炒めでは濃厚なコクが楽しめるので、調理に迷ったときはバター炒めにすると良いだろう。

・・・とまあ大体こんな感じではあるが、もし何かあっても全て自己責任でお願いしたい。


毒キノコ図鑑 TOP↓

coruthi.hatenablog.com