最終更新日:2016年3月3日
クリイロカラカサタケ(栗色唐傘茸、学名:Lepiota castanea)とは、ハラタケ目ハラタケ科キツネノカラカサ属に属するキノコの一種。ハラタケ科としては小型だが、猛毒として知られる。
和名の通り、全体に覆われた栗色の鱗片が特徴で、属名のLepiotaはギリシャ語で「鱗片」または「耳」の意、種小名であるCastaneaは「栗」を意味しており、クリ属の属名としても用いられる。
キツネノカラカサタケ属のキノコは海外でL.brunneoincarnata、L.subincarnataなど強い毒性を持った種が多く知られているが、日本においてもクリイロカラカサタケを含めドクキツネノカラカサなどの猛毒菌が存在し、キツネノカラカサといった食菌と間違えないよう注意が必要。
特徴
夏〜秋にかけて、林内の落葉上、または地上に発生する。
傘は小型で、初め円錐形で中央はやや突き出しており、のち平らに開くが、中央は突き出したままである。表面は白色の地に、栗褐色の鱗片に覆われる。
ヒダは黄白色で、時にオレンジ色のシミを帯び、柄に離生し、やや疎。
柄は上下同大または下部がやや膨らみ、上部にクモの巣状のツバを持つ。ツバより下は淡橙褐色の地に傘とほぼ同色の鱗片に覆われる。
胞子はくさび形〜長楕円形、大きさは平均10×5μm程となる。
類似種
よく似たキノコにキツネノカラカサ、ドクキツネノカラカサタケ、ワタカラカサタケ(食毒不明)などがある。
キツネノカラカサは鱗片の密度が本種と比べて明らかに薄く、画像などを見比べれば違いは明らか。
ドクキツネノカラカサは類似性が強い。本種と比べて全体的に色が薄く、前者と同じく鱗片の密度がやや薄いといった点があるが、個体差もあるので胞子の検鏡をすると良い。
ワタカラカサタケは傘の縁部や柄の鱗片が綿くず状となっている点で区別できる。図鑑によって食毒が分かれるが、同じく猛毒の可能性があり。
毒成分・中毒症状
上記にも述べた通り、猛毒キノコ。
「日本の毒キノコ(フィールドベスト図鑑)」では毒成分は不明と書かれているものの、Wikipediaではアマトキシン類を含むと表記されており、実際にアマトキシン中毒と同様の中毒症状を示すことからほぼ間違いないだろう。
すなわち、タンパク質の合成を阻害し、肝細胞を壊死させる毒性である。アマトキシン中毒の詳細はタマゴテングタケの記事を参照してもらいたい。
本種に限らず、小型のカラカサタケ類のキノコは猛毒成分を含むものが多く、注意されたし。
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