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アカタケの毒成分・中毒症状など

最終更新日:2020年2月29日

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アカタケ(赤茸、学名:Cortinarius sanguinea)とは、フウセンタケ科フウセンタケ属に属するキノコの一種。元々はササタケ属(Dermocybe)あったが、近年の再編によりフウセンタケ属となった。有毒として知られており、注意を要する。

その名前の通り、赤色が特徴のキノコで、傘・ヒダ・柄、そして肉や本種から滲み出る汁液も含め、ほぼ全体が赤色に染まっている。

毒キノコといえば派手な色を想像する人もいるが、実際には地味な形態ながらも毒性を持つキノコは数多く知られている。

反対に赤、青、紫色など見るからに怪しいキノコでも食べられるものは多く、アカタケのように目立つ色と毒性を一緒に持ったキノコは意外にも少ない。

特徴

夏〜秋にかけて、トウヒやコメツガなどの亜高山地帯の針葉樹林の地上、または古い切り株の周辺などに発生する。

傘は怪3〜5cm、始めまんじゅう形、のちほぼ平らに開く。表面は暗赤色でほぼ平滑または同色の細かな鱗片が付着する。

ヒダはやや疎で、柄に対して直生〜湾生する。色は暗赤色、のち成熟するとさび褐色を帯びる。

柄はやや細長く、傘とほぼ同色だが、より濃色をしており、表面には同色の繊維状のささくれがある。

肉は血紅色で押し潰すと赤い液汁を滲み出す。この特徴から他のキノコと安易に区別ができる。この特徴を活かして洋服などを赤く染める為にアカタケの煮汁が使われる事もあるという。

胞子は楕円形、表面は細かいイボをつけ、大きさは6.5〜8×4〜5μm程となる。

毒成分

アカタケから単離された毒成分は「エモジン(emodin)」。アントラキノン系の色素として知られ、イタドリ、 トコンなどにも含まれる。植物界では比較的広く分布しており、「チロシンキナーゼ」の活性を阻害する作用を持っている。

チロシンキナーゼとは、細胞の増殖・分化、免疫細胞などのシグナル伝達に重要な役割を果たすプロテインキナーゼの一種で、これが異常に活性化して癌(がん)の原因になることがある。エモジンはその活性化を制限する作用があるという。

エモジンはしばしば漢方薬などに用いられ、エモジンを含む植物で漢方薬として使用されるものではダイオウ(大黄)が有名。主な効果は緩下、つまりは下剤である。

漢方薬には副作用はあまりないが、大黄の副作用としては主に腹痛、下痢、食欲不振など。大黄に含まれる成分とアカタケのエモジンとは明確な比較は出来ないが、そのような成分が多量に含まれた毒成分という認識で問題ない。

エモジンは細胞毒性を示し、その他ではバクテリアを用いた試験で、遺伝子の修復を阻害するような遺伝子毒性を示すことが報告されている。

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画像はエモジンの構造式

エモジン他にもいくつか細胞毒を含むという。毒成分ではないが、エモジン以外にポリポル酸やアリザリンなど、多数の色素を含んでいる。

中毒症状

食べると激しい下痢、嘔吐などの胃腸系中毒を起こし、場合によっては出血症状を引き起こすとされるが、詳細は不明。

毒々しい外見のせいなのか、現時点で中毒例は報告されていない。毒性の強さは明確ではないが、あまり高くないと考えられている。しかし、十分に注意をしてもらいたい。

 

 

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